映画「天気の子」感想

こんばんは。

 

この前の金曜日、公開初日に新海誠監督の映画「天気の子」を見ました。

そんなにたくさんではないですが、簡単に感想を書きたいと思います。

ちなみに今は告白実行委員会のアニメを見ています。

 

新海誠について

ボクは「君の名は。」しか見ていないので新海誠作品としての「天気の子」みたいなことは全然考えられなかったです、「秒速」とかも見たいですね。

なんで「今回の新海誠は~~~~だった!!!」「やっぱ新海誠は~~だわ。」みたいなことは書きません。

 

・感想

一言で感想を書くと、定番で面白いものはやっぱ面白いなという感想です。

展開とかテーマ自体はある種テンプレだったかもしれませんが、新海誠っぽい(?)演出がいい感じに効いており爽やか青春味に仕上がっていると思いました。

 

話自体はボーイミーツガールで主人公は世界を取るか、ヒロインを取るかという話です。あとは子供と大人の過渡期という話。

 

・青春ぽさ

主人公は元々離島(伊豆諸島?)で暮らしていていましたが、そこでの閉塞感を感じて一念発起して黙って東京へ行き、そこから物語は始まります。東京で都会の喧騒やら大人のやり口やらにボコボコにされて「やっぱ都会って怖いわ~」となっているところでヒロインと出会うという展開。これが最序盤。

 

この展開、すごい青春ですよね。

「こんなおもんない田舎でしょーもない大人に囲まれてなんか生きていられるかよ!オレは都会でビックになるぞ!それで都会に行って女の子と出会って駆け落ちしちゃうぞ・・・。」という高校生らしい考え/感情を最初に提示します。そしてそれを実行しちゃうわけですよ。

 

それでもってネカフェに主人公が寝泊まりするときに読んでいる本が『ライ麦畑でつかまえて』なわけです、「これって青春的思想だよね!」という提示の仕方がわかりやすくていいなと思います。

 

他に好きなのは、主人公たちが色々あって警察に追われる中、ホテルに泊まるシーンでヒロインの弟が言うセリフ。内容としては「俺たちこれでお尋ね者ってこと?それってカッケーじゃん!」みたいな趣旨。

中には「お尋ね者が格好いいって何言ってんだよ!」と思うかもしれませんが、これも「お尋ね者=格好いい、ワル=格好いい」という青年っぽさが見えるセリフな気がしてとても好きです。

わかる、学校に侵入してきたテロリストをぶっ飛ばすのも、世紀の大悪党になるのもカッケーのが青春って感じ。

 

また、まだ主人公たちが大人ではないことを示すのに、俗世に染まっちまった大人たちと青年である主人公たちとを対比して描いているのがとてもグッド。

元々は主人公のような青春的思想を持っていたが、今はもう大人になっちまったオッサン(須賀圭介)と現役で青春思想を持つ主人公の関係性だったり対比だったりで青春というテーマをうまく視聴者に届きやすくしています。

 

あと終盤で線路の上を走るのも「スタンドバイミー」のオマージュかなと思いました。

青春作品てんこ盛りです。

 

・自分語り

「あぁオレもこんな実行力が高校の時にあったらなぁ」とか思います。勉強をしているときも、「何でこんなことをやってるんだ?とか何で社会のレールに乗らなきゃいけないんだ?結局オレは何ができる何者なんだ?」みたいな思いがありました。

ボク自身も田舎の出身で「こんな田舎にオレは収まらん、大学は都会に行ってバリバリ遊びまくるぞ~」つってたわけですよ、主人公と同じです。まぁ結局家でアニメ見てばっかりですが。

そんな思いをなんとなーく社会はこんなもんだしと割り切ってしまった今になってこそ、「こんな風に思うこともあったなぁ~」って主人公の思いも大人たちの思いもわかるようになってきたのかもしれません。

 

セカイ系について

いわゆるセカイ系ボーイミーツガールだと思います。

それに関しては「君の名は。」も同じ気がします。

 

有名なのは「新世紀エヴァンゲリオン」『最終兵器彼女』『イリヤの空、UFOの夏』『ブギーポップは笑わない』とか(何か有名なのを忘れている気がする)。

この映画を見終わった瞬間は『イリヤの空、UFOの夏』を滅茶苦茶爽やかにした作品だったなとか思いました。確かに、「学生ボーイミーツガール」「主人公とヒロインの逃避行」「ヒロインが世界の命運を握っている(この表現は適切ではないかも)」という物語の展開の部分は似ていますが、テーマや演出など、作品の中身としては違うものに仕上がっているのではないでしょうか。

 

ちなみに、ボクは「天気の子」のほうが好きです。

イリヤの空』がめっちゃ好きな人は多分イリヤのほうが好きそう。(と思うのでイリヤの空が好きな人でこの作品を見た人がいたら感想を教えてください。)

あと、正直この作品を見終わった後にぶったまげました。だって展開が15年前のセカイ系ボーイミーツガールやんってなりますもん。展開自体は全部どっかで見たことあるぞとなるわけです。

令和にもなってまさかこんな10数年前に大流行した(?)ストーリー展開をする作品があるとは・・・という気持ちになりました。上述のとおりテーマや演出は違うので展開・構成は同じですが楽しめます。

 

・おわりに

「青春とは恋愛と複雑な人間関係の変化である!」みたいな作品が最近は多い気がします。

しかし、ボクは「青春とは鬱屈したモヤモヤした感情と自己矛盾」みたいな自分の内面の問題だと思っています。この作品がテーマにしている青春は、わりとボクが思っているモノに近い気がしたので見ていて楽しかったです。ボクにとっての青春とは何かを再発見できたような気もします。見て非常に意義のある作品でした。

 

ボクはこの作品が青春をテーマとし、セカイ系作品であるということをかなり序盤の段階で意識しながら見ていました。今回の感想もその視点/切り口に従って書いています。でもこの作品を見る人のおそらく半数以上は、『ライ麦畑でつかまえて』だのセカイ系作品だのみたいな話は知らないと思うし、もっとフラットな感情や色々な視点でこの映画を見てると思うので、他の人の感想が楽しみです。

 

この映画を見た人がいたらどこが面白かったのか、会った時にでも感想をぜひ教えてください。

あとキャッチャーインザライム、イリヤの空好きの人の感想も待ってます。

イリヤの空という作品やセカイ系という単語が最早オタク業界で過去の遺物な気もする、全然オタクに通じない。)