PS4『DEATH STRANDING』(デス・ストランディング、デススト)クリア後感想・評価/レビュー

こんばんは。

 

昨日、無事PS4で発売された『DEATH STRANDING』(以下:デススト)のストーリー部分をクリアしたので感想とレビューをしていこうと思います。ストーリーのネタバレはほとんどないです。ちなみにクリア時間は34時間でした(多分早い方だと思います)。

レビューだけ読みたいという方は前半は読み飛ばしても問題ありません。

 

〇作品の概要

デスストは2019/11/08に発売されたゲームで、ジャンルとしては既存のゲームの枠には囚われない「ストランド・ゲーム」とされています。プロデューサー兼ディレクターは『メタルギア』シリーズなどを手掛けた小島秀夫で、開発はコジマプロダクション、発売はSIE(ソニー・インタラクティブエンタテインメント)です。その他の特徴としては、このゲームの主人公にはノーマン・リーダスが起用されており、ゲームの開発エンジンにゲリラゲームスのデシマというものを使っていることが挙げられます。

 

〇ゲームの流れ

このゲームの最終的な目的は大陸を横断して都市と都市をつなぐことですが、そのためにプレイヤーが実際に行うことは荷物を目的地に運ぶことです。

 

ゲームの大まかな流れとしては、

拠点で依頼を受ける→荷物/装備を整える→出発→→→(旅路)→→→到着(納品)/依頼完了

となります。

良くも悪くもシステム的には「おつかいゲーム」であると言えると思います。

 

〇感想・評価/レビュー

ボクはこのゲーム、非常に楽しんで最後までプレイできました。

というのも、システム面だけ見れば今作はただの「おつかいゲーム」ではあるものの常に飽きないような工夫が随所になされていると感じられたからです。今回は7つの項目に分けて感想を書いていきます。

 

①ルートを考える面白さ、達成感

このゲームではただ直進するだけではなく、自分がどういうルートで目的地に着くか考える必要があります。道中には「ミュール」と呼ばれる主人公の荷物を略奪する集団や「BT」と呼ばれる雨が降る場所に現れる主人公の行く手を阻む存在がいます。そこでそれらの障害を迂回するルートをとるもしくは、敵のど真ん中を通ってでも近道を通るルートなど様々なルートを検討して楽しむことができるのです。また、単純に地形的な問題(崖、谷、山の急斜面など)の存在によってルートの再検討を強いられる場合もあります。

 

以下の画像の例では、プレイヤーの現在地(赤丸)から目的地(黄丸)に向かいたい状態にあります、青いモヤモヤは雨が降っているゾーンで、敵(BT)が出現します。そこで考えられるルートとしては雨の中を突っ切って最短で行くルート(危険だけど早い)、雨を迂回して安全に行くルート(遅いけど安全)があります。

 

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どのようなルートで行くかはその人次第ですが、このように自分で行く場所に対してどうアプローチするかを考える楽しさは、まるで旅行の日程/ルートを組んでいるような楽しさがあると思います。更に、自分で考えて組んだルートで荷物を届けられた時の達成感は自分が主体的にゲームに参加した故の大きなものがあると思います。

例えると、東京から大阪まで移動するときに東海道をそのまま行くか、甲府や諏訪を経由するか名古屋から三重奈良経由で大阪に行くか等様々なルートを考えている気持ちになりました。こういうことを考えるのが好きな人は必ずハマるゲームだと思います。(ゲーム内では障害がなければ、基本は早さ重視で直進だと思いますが)

 

上記に加えて基本的に初めて通る道は開発されていないので、手探りで道を探して切り開いていく探索の楽しさみたいなものもあると思います。このゲームはマップが広いので配送箇所が多く存在し、未踏の地に行きたいという探求心も大いにあるでしょう。

これはどんなゲームにもある(ドラクエポケモンで次の町に向かう道中のような)、自分の知らない/体験したことのない場所を進んでいる時のワクワク感だと思います。このゲームでは次の目的地へのルートは一本道ではなく、自分でアプローチするルートを考えなければならないので手探りで開拓するワクワク感はより大きくなるでしょう(他のオープンワールドゲームでも言えることかも)。

 

②達成感とそれ盛り上げる演出

上記で説明した達成感がこのゲームで一番の面白さだとボクは思います。

その達成感を盛り上げるための演出が随所にあります。最もわかりやすい&嬉しいのは、山の頂上から見下ろす絶景とその先にある目的地を見るこの瞬間。この瞬間にカメラが引いて景色を味わえるようになり、更にそこで雰囲気に合ったいい~~感じの曲(この場面では画像右中央の曲)が流れます。

今までの長かった道のりを思い返して、ようやく配達が終わるという安堵感、そして困難な道のりを踏破したという達成感が味わえます。この瞬間、このゲームやっててよかった~となることは間違いないでしょう。

(実際のゲーム内の行程としても、このゲーム体験の在り方としても)まさに登山のようなゲームだと言えると思います。

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③素晴らしいマップ構成と飽きないプレイ

 では道を決めている時間、そして達成を味わった瞬間以外は退屈なのかと言うと全くそんなことはありません。そこにはマップ構成の良さが活きています。

 基本的にこのゲームは歩くだけ移動するだけのゲームですが、道がデコボコしている/岩がゴロゴロしてる、雪山で常に半ロッククライミング状態であることが多いです。また、凹凸のある道を通ると主人公がバランスを崩して荷物を落としそうになるのでL2/R2ボタンを押してバランスをとる必要があります。

 なので移動中も常に画面を見て凹凸を回避する必要性があり、3秒後どの道を通るかなんかを考えながらプレイする必要があります。×ボタンを押せば凹凸を登ることもできるので、瞬間瞬間の道の選択すらも自由です。こうして常に多少は考えることがある、移動中も飽きないゲームとなっています。またこの瞬間の選択は無意識のうちに行えるので、長時間ゲームをプレイしていて疲れるとか負荷に感じることは比較的少ないと思います。(FPSやアクションゲームのように常に思考をフル回転させて集中する疲れみたいなもの)

 瞬間の道の選択と長期的な(大まかなルートの)道の選択の面白さに加えて、前述の依頼を終えた時の達成感が噛み合うことで、歩いているだけなのに無限に飽きないでプレイしてしまうゲームに仕上がっているのでないでしょうか。これには素晴らしいマップ構成の恩恵であると言えるでしょう。

※但し、国道(整備された安全な道)などが完成したらその道を真っすぐ進むだけになります、まぁこれはこれで別の面白さがある気がします(この面白さについては後述)。

 

④やりこみ/開発の面白さ

このゲームには配達の道中を手助けしてくれるアイテムがあります(車やアイテムを使うために必要なバッテリーを充電できる施設や、川や谷を越えるための橋など)。これらのアイテムを使うことで今まで歩き回って大変だった移動を抜群に快適に行えるようになります。

自分で資材を集めて施設を建設し、今まで大変だった移動が楽になった瞬間は嬉しい気持ちが多分にあると思います。また、自分が建てた施設はオンラインで共有されて他プレイヤーから「いいね」をもらえるので嬉しくなれます。

ただ、移動のために施設による開発をしまくった結果、ヌルゲーになりすぎてしまう可能性もあるのかと思います(移動が単調になり、まさしく真の意味で作業ゲーになってしまう)。具体的には、荷物を届ける町と町をつなぐ国道を建設し終わった瞬間は滅茶苦茶嬉しいけど実際国道を使うと配達がヌルゲーになりすぎる、なんてことも。Lv100のポケモンを持ってゴールドスプレーを使って1番どうろを歩いているような気分。

一応開発がされすぎないように定期的に建築物は雨によって劣化していくそうです(正直発売5日間でかなり開発されたし開発できたので頻度の問題か?)。どれだけ開発するかはある程度プレイヤーに委ねられているので、やり込み要素としての面白さという側面が大きいように思えます。

 

⑤ストーリーの奥深さ

まず、この作品のストーリーは全体的に難しいです。それはストーリー構成という意味でもありますし、固有名詞(独自の設定)の多さという意味でもあります。詳しくはこの記事では触れませんが、順々にストーリーの内容を理解できていればストーリーのエンディング場面ではこの作品の芯となる部分は理解できると思います。ボクは適当に流し見していたのであんまりわかりませんでしたが。常に新しい謎を提示してくれるので、次が気になる展開が続きます。ストーリーの続きを見るということもゲームを続ける/配達をするモチベーションにつながるでしょう。

また、エンディングを見て全体像がつかめている状態で2周目を遊ぶと序盤の何もわからなかったセリフの意図などが理解できるので、よりストーリーを楽しむことができると思います。ストーリーの解説や考察でも楽しめる一作です。

 

小島秀夫っぽさ

これは完全に既存の小島秀夫の作品プレイヤーが楽しみにしている要素の一つではないでしょうか。狂言回しっぽい(プレイヤーにはわかるメタ発言)をするキャラクターがいて小島秀夫っぽさをそのキャラクターからは感じました(雑な感想)。

また、過去作オマージュのキャラが登場するのも小島秀夫っぽいなと思います。

ボクは知識不足でわかりませんが、映画のパロディも多く出てきているんじゃないでしょうか、多分。

 

⑦ゲームのテンポ感とチュートリアル

ゲームのテンポ感も良かったです。テンポ感というのは新しいゲーム内要素の導入のスピードだったりチュートリアルだったりです。

散々「このゲームは歩くだけ!」と書いてきましたが、プレイヤーがやれることは実は沢山ありますし、画面上でプレイヤーが把握しなければいけない情報量は(歩くだけにしては)多いです。ですが、ゲーム内の新要素の解放・導入は、プレイヤーがそれまでのゲーム環境に慣れた頃合いをうまく見図ってなされています。そして実質チュートリアル的な側面がある任務や戦闘・建設も、チュートリアル然しておらず、「この場面ではこの操作をしないと先に進めません、やってください」みたいな展開になることは少なかったと思います。チュートリアルを自然にゲーム内に溶け込ませるのはうまいゲーム構成だなぁと素直に拍手です。

正直、最序盤はムービーが多く(その上ムービーの意味分からん)、移動中にできることも少ないので退屈に感じてしまうかもしれませんが、3~4時間プレイすればある程度要素が解放されゲームにも慣れて、自分の思うままに配達ルートを組めるのではないでしょうか。

 

総評

なんだかんだ書いてきましたが、①と②の部分がボクは一番このゲームで面白いと感じた所です。だから、初見で道を開拓するときのワクワク感、それを成し遂げた時の達成感はこのゲームをやった価値があったなと存分に思わせてくれるものであり、このゲームは満足する出来だったと思います。

新しい拠点や配送ポイントがなくなってしまうと、プレイしていて何度も同じ/知っている道を往復するだけの作業になってしまうように感じたのでゲームを再開するならストーリーの2周目かなと思います。(道の開発をモリモリやるかどうかは人によって好みが分かれそう)

最後にボクのクリア時のデータを載せておきます、何かの参考になれば。

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余談、雑談

このゲームは歩くだけゲーム、目的地に向かってゴールすることが目的のゲーム、(戦闘で敵を倒して爽快感を得ることではなく)ゴールに着いた瞬間の苦難を乗り越えた達成感が売りのゲームという意味ではファミコンの『スーパーマリオブラザーズ』とやっていること自体は同じだと思います。

しかし、このゲームを通してこれだけゲームの面白さは複雑というか(このゲームの場合は)アクションとして練られているのだなと痛感しました。また同時に、ゲームの本質的な根柢の部分(達成感という意味で)が変わっていないということは、人間は達成感という感情が滅茶苦茶好きなんだろうなと思うようになりました。

 

クリアしたゲームの感想の下書きが無限に溜まっているので消化していきたいです。